反復する生き物

基本的には好きな本を何回も読んだ感想と考察あれこれ(ときどき別コンテンツあり)。上部はこれから読む方、下部はもう読んだ方向け。読まずにネタバレのみ希望の方向けでは無いので、ご注意を。

七つの会議(映画)①

七つの会議(映画)

 

nanakai-movie.jp

 

今回も映画からです。

池井戸潤さん原作、大ファンの『下町ロケット』と大かぶりのキャストとなれば見るしかない…ということで。

 

【あらすじ】

50代で万年係長、会議では平気で居眠り、 皆が残業の中でも平気で定時上がり、繁忙期に平気で有給休暇を申請。典型的なダメ社員・八角(野村萬斎)。しかし所属は「花の営業一課」、「鬼の営業部長」北川(香川照之)からも何故かスルー。

ある日そんな部下の八角に堪忍袋の尾が切れた一課長・坂戸(片岡愛之助)が八角にパワハラで訴えられる。誰もが坂戸は守られると思っていたが、事態は思わぬ方向に。

不可解な坂戸のパワハラ処分の後を受けて一課長となった原島(及川光博)は、八角と会社が抱える事情と真相に迫っていくーーー

 

【見どころとネタバレに触れないようにした感想】

一言で言うと、「繰り返し見たい映画」。

事情と結末を知った上で、もう一回見ると理解が深まったり、登場人物の気持ちが分かってより面白いかと。

さすが池井戸潤さん×福澤克雄さんで、全員キャラが立っていますので、一人一人食い入るように見てしまうのですが、連ドラではなく映画ということでとにかく展開が早く、一人一人に思いを馳せ切れませんでした。それもあって、繰り返し見たくなります。

 

野村萬斎さんはさすが主演なので、ダメ社員を演じるのもお上手ですが、その奥にある深みを感じさせる演技で素晴らしいのは勿論。

その中で私のNo.1は鬼の北川部長こと香川照之さんでした。

「お前がパワハラだろ」という営業会議から始まって、やり込められまくる及川光博さんの弱さとの対比が凄い(笑)

北川も北川で、親会社の梨田常務には勝てない様子なのですが、媚びへつらってはいない。理由は北川の人生の選択と生き様と矜恃に裏付けられています。

それは決して正義ではないのですが、予告映像にもある鬼気迫る顔での「どっちが罪が重いんだろうなぁ」……その後にくる八角とのクライマックスシーンは泣きました。

香川さんは主人公の敵役のような位置付けなのに、根っからの悪ではないという役どころが多い気がします。そして敵役としてのインパクト大。なのに、どこか可愛らしい愛嬌も覗かせる。そこが好きなんですよね。

『七つの会議』でもきちんとあります、「愛嬌シーン」!大好きです。

 

また、八角と北川が対比というなら、原島と坂戸の対比も見事です。強さしか見えない坂戸と、弱さしか見えない原島で物語はスタートしますが…

2人とも会社という箱の中で極度の緊張の中にありながら、悩み、必死で戦っています。

へこたれながら真面目に頑張る原島の及川光博さん、強く凛とした坂戸の片岡愛之助さん、どちらも非常に素敵です。

 

あと、大きな反響を集めているのが、新田雄介役のオリエンタルラジオ・藤森慎吾さん。

舞台で色々な役を普段こなす芸人さんは、演技も達者で、普通の俳優さんと違った良い味を出してくれるものですが、藤森さんも良い存在感でした。お堅いクズ(笑)…絶妙。

 

◆脱線◆脇を固める『下町ロケット』の面々◆

私が単に『下町ロケット』を大好きだという理由だけでやってみます。

※俳優さん名/『下町ロケット』役名→『七つの会議』役名

 

◆朝倉あきさん/加納アキ→浜本優衣

今回はヒロインです。作業服姿をすっかり見慣れていましたが、メガネのOLさんも可愛かったです。常に一生懸命に仕事に向き合う女の子ですね。

◆世良公則さん/貴船恒広→村西京助

悪徳教授のイメージが強過ぎて、最後の最後まで実際は悪者だろうと思っていました…申し訳ありません!なんだかんだ、一番真っ当な人だったので、インパクトには少し欠けました。

◆岡田浩暉さん/稲本彰→佐野健一郎

常に、根っから悪人ではないのでしょうが感じの悪い役のイメージ(笑)主役ではないけど、どの作品にもこのポジションはいますよね。なんだかんだ、俳優さんとして確立されています。今回は談春さんと絡み無しです。

◆立川談春さん/殿村直弘→江木恒彦

トノさんーーー!!お勤め先は同じく中小企業。今回は社長ですが、見た目も話し方も全く変わらないので「ブラックトノさん」という感じでした。

◆春風亭昇太さん/柳井哲二→飯山孝実

またもお金を扱う嫌味な役。どちらも、矜持もへったくれもない小悪党なので、作品内の昇太さんは常に大嫌いです(笑)

◆土屋太鳳さん/佃利菜→三沢奈々子

町工場の娘というところは共通。しかし今回は、登場場面が少な過ぎ。これ、土屋太鳳さんでなくても良かったのでは…?と思ってしまいました。

◆小泉孝太郎さん/椎名直之→名倉翔平

『ガウディ計画』悪役から、ごく普通の会社員。やばいところで逃げ(笑)、そのままフェードアウト。孝太郎さんの使い方、贅沢過ぎませんか?

◆木下ほうかさん/水原重治→田部

下の名前無いのかよ…。冷静沈着な重役というところでは共通。どこで出てくるか楽しみにしていたのですが、出番が最後の会議しかなかったので、ちょっと残念でした。

◆橋本さとしさん/三田公康→坂戸崇彦

中小企業を食い物にする悪徳マネージャーから、弟・愛之助さんを案じる超エリートのお兄さん。お勤め先の東京中央銀行は、佃製作所のメインバンクですよね(笑)

 

橋本さんは公式サイトにも名前無いので、見て初めて出演を知りました。格好良い役もできる素敵な方で好きなので、出演は嬉しかったです。

あ、ぼくもとさきこさんも台詞は無かったですが、OL役で出ていましたね!

他にもいるのでしょうか?分かる方がいたら教えて欲しいです!

 

 

調子に乗って書いていたら2,000字越えてしまったので、ネタバレありの感想と原作読後の追記は次回②で…では、また。